統合失調症体験記08・・・運命の人

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240第八章

「祭り」の次の日、私は昼食を食べようと居間に行った。しかし何かがおかしい。どこからか「チリッチリッ」というような雑音が聞こえてくる。窓の外に見える景色の微妙な変化が気になる。私は昼食のスパゲッティに毒が入っているサインだと感じた。そして母に「毒が入っているから食べたくない」と言う。母は「なんで毒なんて入れるの」と驚く。母の態度に私も冷静になって「母が毒を入れるはずがない、母は100%信じられる」と思った。そして疑ったのを謝る意味でスパゲッティをさっさと平らげた。それでも耳には「チリッチリッ」という雑音が聞こえてくる。明らかに何かがおかしいと思った。そして突然メールの着信音が響く。私は確信した。さっきから続く雑音や風景の微妙な変化は「このメールに注意しろ」というサインだと。父からのそのメールにはこう書いてあった「良い病院が見つかったから一緒に行こう」と。

260第八章

私は家にいたくなくなったので外に出た。そして2時間近く歩き続けた。そして帰ってきた。ところがまたしてもサインを発見してしまう。鍵を開けたのに扉が開かないのだ。正確に言うと出かける時に鍵をかけたのに、帰ってきたら鍵がかかっていなかったのだ。私はこのサインが「今は家に帰るな」という意味だと思った。私は「運命の人」に会いに行こうと思った。

私の「運命の人」はパチンコ屋にいる受付のお姉さんだった。名前も知らない仲だったがバレンタインデーにチョコレートをくれたのだ。(私的な物ではなくパチンコ屋さんのサービスの一環)妄想がエスカレートしていた私は彼女が将来私と結婚して子供を生んでくれるパートナーだと思い込む。

270第八章

片道10km程を歩いて「運命の人」が待つパチンコ屋に到着。しかし彼女はいなかった。私は近くの公園で1人ライヴを開催する。演目は「the pillowsメドレー」、歌っていればその歌を聴きに「運命の人」が来てくれると思った。MY FOOTに始まりBOAT HOUSEで終わる変則メドレーは終わった。しかし「運命の人」は現われなかった。まだ時期ではないのだと思った。時期がくれば自然とどこかで会えると思った。その日はそのまま家に帰った。

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統合失調症体験記07・・・花火の幻聴と祭

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20第七章

父を殴ったその日の夜、私は【東方】Bad Apple!! PV【影絵】を見ていた。不特定多数の誰かに見られているような感覚の中、私を見ている連中が私の中に入ってきた。連中は私の目を通して物を見ているようだった。連中は私にはバレていないと思っていたが私にはバレバレだった。私は連中が世界中のモニターの前の人間で、私自身が生放送のカメラにされているのではないかと思った。私は自分が視線に気づいている事を彼らに知らせたかった。自分はただのカメラじゃないぞと。色々な手段を講じた結果、とうとうモニターの前の彼らは気づいてくれた。そして「祭り」が始まった。動画は私を褒め称えるコメントで溢れた。物語の主人公になった気分だった。

20第七章

私は「祭り」に出かけようとした。インターネット上でこれだけ盛り上がっているのだから外は大騒ぎだろうと思った。まだ命を狙われていると思っていたので、まず頭を守ろうとヘルメットをかぶった、そして何故かギターを持っていこうとしたが、これは家族に阻止されたので、仕方なくギターの代わりに漫画を描く時に使う羽根ぼうきを手に出発。外に出たら花火の「ドーン、ドーン」という音がして、いかにも祭りらしい。(もちろんこの花火の音は幻聴だった)私は誰かが私に会いに家から出てくることを期待しながら町内を練り歩いた。しかし一向に人が出てくる気配は無い。ただ「ドーン、ドーン」と花火は続いている。私は通りすがる車のヘッドライトやテールランプに「あなたを見てました」というサインを見出す。そして去っていく車に羽根ぼうきを振ってお礼をした。

20第七章

そうしているうちに1台のパトカーが私の前から近づいてきた。パトカーが私の数メートル前に止まると警官が3人、中から出てきた。あっという間に取り囲まれた。何が始まるのかと思ったら職務質問だった。お祭り気分から一転、現実に引き戻された。警官は私の異常な状況(ヘルメットに羽根ぼうき)から薬物を疑ったらしく、ポケットの中から財布の中身まで全部調べられた。警官達は「男が刃物を振り回している」との通報を受けて来たという、どうやら羽根ぼうきが刃物に見えたらしい。結局異常は何も見つからず私はパトカーで家まで送ってもらうことになった。家に帰ると警官と父が話をしているのが見えた。「家庭内暴力」と聞こえた気がした。多分私の右フックのことを言っていたのだろう。

240第八章

深夜、私は眠れなくて、また外に出る。雨も降っていないのに傘を片手に。世界中の悪意が自分に向けられている気がした。私はこの世界に存在する全ての悪意を自分に集めて宇宙に捨ててしまおうと思った。まず山の上で傘をひっくり返して広げてアンテナに見立てた。そして世界中の悪意を自分の体に受け止める。あとはひっくり返っていた傘を普通に持ち電波を送信するように悪意を宇宙に放出する。儀式の最後に舞を踊った。ふと儀式には生贄が必要なのでは?と思う。そして展望台から飛び降りて自分を生贄にしようかと思った。しかし生きることに執着があったので自殺は回避された。代わりに傘をめちゃくちゃに壊して捨ててきた。山を降りる時、ふと家に帰るまで振り返ってはならないと思った。振り返ったら人生の最期だと思った。極限の緊張感の中、結局振り返らずに家までたどり着けた。

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統合失調症体験記06・・・オレンジジャケットの男

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175第五章

その日、私はいつも通り散歩に出かけた、するとオレンジ色のジャケットを着たフルフェースのヘルメットをかぶった男がスクーターに乗って私の前から近づいてきた。手には何かボードのようなものを持っており、ペンで何か書いているようだった。私はその男に観察されているような気分になった。しばらく歩いていると今度は後ろからフルフェースヘルメットをかぶったオレンジジャケットの男が近づいてきた。私はストーカーにあっているのではないかと思った。そして父が病院を探していた事を思い出す。私は父が私を観察するために人を手配したのだと思った。

18第六章

そして終いには命を狙われているのではないかと思うようになった。こうなると工事現場で働いている人たちや、そこら辺を歩いている一般人まで私の命を狙っているように感じてくる。私は近くの公園に逃げ込んだ。そこにもフルフェースのオレンジジャケットの男がやって来た。私は意を決してその男に「なぜ私に付きまとうのですか?」と聞いてみた。しかしその男は「いやちょっと何を言ってるのかわかんない」と言って去ってしまう。

夕方、父に「オレンジジャケットの男」について問いただした。父は、はじめは「知らない」「分からない」と言っていたが、最終的には「自分がやった」と認めた。(後から聞いた話ではこの時の私のあまりの迫力に圧倒されて、やっていないのに自分がやったと言ってしまったらしい)

200第六章

私は父に土下座させた、それでも私の怒りは収まらず土下座した父の背中に足を乗せた。それを止めると今度は私が土下座して父に謝った。これには理由があって当時、鏡の世界と繋がっていた私は「自分がしたことは(鏡に反射して)自分に返ってくる」と思っていた。なので土下座には土下座で返したのだが、父が「これで良いのか?」と私の背中に足を乗せた瞬間、私は激昂して父に殴りかかった。3~4発右フックを叩き込んだ。右フックが鏡に反射してくることはなかった。またそれを望みもしなかった。鏡の世界との繋がりとはなんとも都合の良い思い込みであった。

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